特区民泊

特区民泊とは、正式には「国家戦略特別区域(通称、国家戦略特区)」として「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」を定めた区域で行う民泊のことを指します。国家戦略特区に指定されている自治体が条例を定め、都道府県知事(保健所)が認定した施設については、特例として旅館業法の適用除外を受けられるという仕組みです。

特区民泊の制度を活用して民泊を行うためには、一居室の床面積が25㎡以上あること、施設の使用方法に関する外国語を用いた案内や緊急時における外国語を用いた情報提供が必要などの条件がありますが、特区民泊の条件のなかでも最も注目されていたのは滞在日数に関する制限です。

2014年3月に公布された国家戦略特区法の施行令では、滞在日数の下限を(7日~10日)として条例で定めることを規定していました。つまり、特区民泊の認定を受ける場合は、6泊7日以上の宿泊客しか受入れができなかったということです。しかし、この滞在日数の下限に関する制限は現実の需要に対応しきれておらず、そのままでは特区民泊の仕組みそのものが形骸化するとの懸念もあり、2016年10月に公布された施行令では滞在日数の下限が(3日~10日)へと緩和されました。この滞在日数の規制緩和により、特区民泊は国家戦略特区における合法的な民泊運用手段としてより魅力が増しています。

2017年8月21日現在、日本では東京都大田区、大阪府、大阪市、福岡県北九州市が特区民泊の制度を活用した「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」を開始しており、既に200件を超える物件が特区民泊認定を受けています。

特区民泊は国戦略特区でなければ活用ができない、依然として条例によって2泊未満の宿泊者は受け入れができないといったデメリットがあるものの、旅館業法簡易宿所よりも認定手続きが簡易でコストもかからないため、大阪市内をはじめとして戦略特区に位置している物件にとっては魅力的な民泊運用スタイルの一つとなっています。